正覚寺(南蛮寺)杉並木の先のキリシタン教会跡
天草市上津浦地区の正覚寺。かつて南蛮寺があったといわれ、本堂大改築の際には半円のキリシタン墓碑が発見された場所です。かつては3,500人もの信徒で賑わい、天草5人衆の上津浦氏の拠点の城跡も近く。現在は静かな南蛮寺跡で、歴史の流れを感じてみませんか。
南蛮寺
かつてはキリシタン布教の拠点の地
天草の上津浦地区には、かつてキリシタンの布教活動の拠点であった南蛮寺(教会)があった言われています。その南蛮寺は天草、島原の乱で破壊。1646年、初代代官・鈴木重成によって現在の曹洞宗「正覚寺」が建立されました。南蛮寺は最盛期には3,500人を超える信徒がいたのだとか。
キリシタン信徒も歩いた?杉並木
山門までは杉並木の参道が続きます。現在はとても静かな杉並木。昔はキリシタン信徒が行き来していたのでしょうか。近くには天草五人衆の1人、上津浦氏の城跡もあり、以前この場所はにぎわいのある地域であったようです。
現在の山門もどこか異国風
杉並木はゆるやかな坂道になっていて、少し急な階段を登ると山門があります。現代でも、どこか海外の香りがする山門。破壊された教会はどんな姿だったのでしょうか。上津浦氏は、宇土城主の小西行長に服属していたこともあり、洗礼をうけドン・ホクロンと名乗っていました。
半円形のキリシタン墓碑
1985年(昭和60年)正覚寺は大改築のため、本堂が解体されました。その際に床下から発見されたのが、半円方型のキリシタン墓碑です。中でも珍しいのが、イエズス会の紋章でもある「IHS(イエスのギリシャ語表記の頭文字)」と十字架の刻まれている墓碑。仏教寺院の床下に眠っていたキリスト教徒の墓碑はまさに天草の激動の歴史を物語っているようです。
樹齢400年の南蛮杉も
キリシタン墓碑の御堂のそばには、樹齢400年を超える南蛮杉(ナギの木)が植えられています。宣教師コエリヨが植えたといわれる杉の木。空に向かい、真っ直ぐにすっと伸びる杉の木は、まるでキリシタン信仰の信念を見るような真っ直ぐさです。
まとめ
歴史の中で破壊され別の形で再建され、それでも長きにわたって何かを残し続けているキリシタンの信仰。とても静かな場所であるが故に、想像力が膨らむ正覚寺(南蛮寺)。参道から進むと、周りとは空気の違うこの空間を訪れてみませんか。
■正覚寺(南蛮寺)
住所:天草市有明町上津浦3550
電話:0969-53-0509
アクセス:車 熊本駅~約1時間50分 九州自動車道松橋IC~約1時間30分 天草空港~約40分
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