中世の山城「棚底城跡」は天草五人衆合戦地
中世、天草五人衆が分割統治していた天草。上津浦氏と栖本氏が合戦を繰り返していた城跡が、倉岳の麓にあります。厳重な山城で、8つの曲輪が連続する連郭式。茶道具に中国やベトナムなどの陶磁器も発見され海外との交易もあった城跡。散策してみませんか。
棚底城跡
倉岳の麓にあった中世の山城
天草最高峰の山、倉岳。山頂に向かう道を右手に入った所には「棚底城跡」があります。中世には、ここには天草を代表する山城があり、14世紀から16世紀の後半まで利用されていました。天草五人衆と呼ばれた領主が分割統治していたこの時代。五人衆の中の、上津浦氏と栖本氏が抗争を繰り返した城でもあります。
麓には山の神様
城に登る山の麓には山ノ神が祀られています。元々棚底地区には2体の山ノ神が祀られていました。農耕の始まる春に、山からお迎えした山の神様は田の神様となり、収穫が終わると山に帰っていかれると伝わっています。先祖代々守り伝えられて来た山ノ神。御参りしていきませんか。
登る途中にはリーフレットが!
山ノ神が見守るように、城跡に続く道があります。坂の急な山道を登る途中には、特設の郵便受けのような箱に棚底城跡のリーフレットが。手に入れて登ると、城跡の散策に便利です。
芦北・水俣まで見渡せる城
元々は上津浦氏の居城であった山城。球磨相良氏の歴史を記した「八代日記」に、栖本氏と10回余りの合戦があったと書かれています。海を見渡せる山城。御所浦の島々から、天気の良い澄んだ日は芦北・水俣地方まで見渡せる場所です。
城跡にみる厳重さ
城跡は、8つの曲輪が連続する連郭式の構造。郭北側から東には三重の横堀が設けられ厳重に作られていたり、天草の中では珍しい複雑で高い築城技術が伺える城跡。国指定史跡でもあります。
出土品からわかる海外との交易
「棚底城跡」からは、嗜好品が数多く出土しています。茶釜を乗せた面取風炉(めんとりふろ)、天目茶碗の破片など茶道具や碁石。中国製の青磁、ベトナムの茶碗など海外の焼物も出土。貿易陶磁器類の出土が県内でも有数の出土量。海を越え、外国との交易もあった「棚底城跡」。中世の時代に思いをはせてみませんか。
■棚底城跡
住所:倉岳町棚底字尾崎
アクセス:車 約1時間50分 松橋IC~約1時間30分 天草空港~約45分
地図:クリックするとGoogleマップが開きます