天草観光でハズセナイ!「崎津教会」世界遺産候補
漁村に立つ崎津教会
外観は美しい西洋のゴシック様式、しかし一歩中に入ると畳敷き。アンバランスに思えて見事に漁村に溶け込む教会が構成資産として世界遺産候補の天草「崎津教会」です。禁教の歴史の中、約250年にわたり信仰を守りぬき潜伏し続けた祈りの地をご紹介します。
漁村の中に美しい教会!
天草下島の西海岸沿いをドライブすると、漁村の日本家屋の中に突然現れる美しい教会が目を引きます。「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」の構成資産として世界遺産候補に登録された河浦町「崎津教会」です。日本家屋に守られるように立つ教会。ここ崎津集落は禁教の時代に長く神父様と信者によって守りぬかれた信仰の地でもあるのです。
神父様の私財と信者の寄付で
元々はアルメイダ神父によって建てられた教会。現在のこの美しいゴシック様式の教会は昭和9年にハルブ神父の私財と信者が集めた資金で建立されました。教会の立つ場所は旧庄屋(吉田家)の敷地。明治6年まで踏絵が行われていた場所だとか。「崎津教会」は美しくも悲しい歴史を感じさせる場所なのです。
必見!正面だけでなく横
「崎津教会」の見所は、前から見る美しいゴシック様式の建築。その真逆に中に入ると畳敷きで赤い絨毯が敷き詰められた日本人ならでは風景の調和です。キリスト教の教会でありながら、これほど日本を感じさせる教会はあまりないでしょう。また横からも必見です。資金が足りず、白い部分は木造。行政にたよる事での制約や負い目を持つ事をさけた心意気の表れでもあるのです。
「トウヤ」「カケ」独特の風景
見所は教会だけではありません。今回の世界遺産登録は「崎津教会」だけでなく「崎津集落」として、周辺の漁村を含む風景が候補。崎津集落は羊角湾の入り組んだ海岸と背後に山が間近にそびえる狭い土地を利用した集落。庭などはほとんどなく、家と家の間に「トーヤ」と呼ばれる細い道があります。その先は「カケ」と呼ばれる海に突き出たテラスのような場所。「カケ」は網の修理や魚を干したりする漁師の作業場。独特の風景です。
漁師の守り神は猫
「崎津集落」ではあちこちで猫をみかけます。というのも、漁師は大漁をよぶと言われる猫をかわいがり、船に乗せていたとも言われるから。漁のご褒美に魚もいただけて、猫にとってはこんなうれしい場所はないのかもしれません。ゆったり、のんびり行きかう猫たちも風景にとけあって、見所です。
名物「杉ようかん」って知ってる?
「崎津教会」の周辺では名物の「杉ようかん」が売られています。うるち米でできた餅にピンクの線。中に餡が入ったおめでたい印象のお菓子。元々は江戸時代11代将軍徳川家斉の祝賀の為、海を渡っていた琉球王の視察団が嵐で漂着。救助してくれた村人にお礼に作り方を伝授したといわれる物。本物の杉の枝が入ったお菓子で日持ちこそしないものの、昔ながらの素朴なお味は必食。午前中には売り切れる事も多いので購入したい場合、予約がおすすめ。
まとめ
禁教の歴史の中、弾圧にも負けずに潜伏し信仰を守りぬいた崎津集落のキリシタンの人々。そして「日本の渚百選」にも選ばれ、ひっそりと肩よせあうように集まる漁村の風景と「崎津教会」。交通は不便だからこそ、訪れる人の心に何か訴える物がある集落なのです。
最後に教会の内部は撮影禁止となっています。というのも、教会は観光地ではなく、現在でも信者の人々が祈りをささげる大切な場所。その点を心にとめて行きましょう。
■崎津教会
場所 〒863-1204 天草市河浦町崎津539
電話 0969-78-6000(崎津集落ガイダンスセンター)
開館時間 9:00~17:00
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交通 ・車 熊本市から2時間40分、九州自動車道松橋ICから2時間10分、天草空港から2時間10分
・バス 産交バス「本渡バスセンター」
→「一町田中央」乗り換え(崎津・大江 経由 下田温泉行き)→崎津教会入口