司馬遼太郎も見た!天草梅の名所・延慶寺 兜梅
延慶寺「兜梅」
天草の梅の名所、延慶寺。ここの白梅「兜梅」は樹齢約500年の古木で、地を這うような姿の別名臥龍梅。この「兜梅」は強く美しくも、悲しい伝説があるんですよ。司馬遼太郎も称えた白さに生命を宿すような「兜梅」。天草の春と歴史を感じに出かけませんか?
延慶寺の裏木戸をくぐると
天草市浜崎町の浄土真宗のお寺、延慶寺。保育園と並んで経つお寺には日中かわいい園児達の声が響いています。そんなお寺の裏庭に周り、裏木戸をくぐると風景が一変。みごとな梅の木があるのです。地を這う姿はまるで龍のごとく、枝振りも見事な「兜梅」。この梅の木には強く美しくも、悲しい言い伝えがあります。
樹齢500年以上の臥龍梅
裏木戸をくぐると、美しく手入れされた裏庭に、みごとな梅の古木が地を這うように枝をのばしています。樹齢がなんと約500年の白梅「兜梅」!樹高は3m、枝張りは東西に約11m、南北へ6m。別名「臥竜梅」と呼ばれる天然記念物のこの梅の木は、不思議なことに実がつかない木だとか。
木山弾正・奥方の強く悲しい物語
「兜梅」命名は伝説によります。天草下島を治めていた天草5人衆の天草氏は新たな藩主、小西行長と加藤清正軍との戦さとなります。落城寸前の時に、2.30騎の騎馬隊を率い敵陣に切り込んだ部隊。先頭は武勇の誉れ高い木山弾正。敵を蹴散らし進む行く手の梅の木に兜がかかり、脱げてしまいます。
すると、木山弾正と思われた武人。実は夫の鎧兜を身に着けた妻のお京の方でした。加藤清正との一騎打ちで敗れた夫にかわり、女性で編成した部隊で戦いに挑んでいたのです。お京の方、最後の言葉が「これから永久に、この梅には実をつけさせない」とか。不思議な事に言葉どおりこの梅には未だに実がつかないそうです。
司馬遼太郎も称えた白さの生命
またこの「兜梅」、司馬遼太郎「街道をゆく 島原・天草の諸道」にも一節があります。「ここの梅の花は、花弁の肉質があつく、白さに生命が厚っぽく籠っているような感じがする。とにもかくもこういう梅の木も花も見たことがなく、おそらく今後も見ることがないのではないかと思われた。」と書かれた梅の花。白さに生命を宿す梅の花、見に行ってみませんか?
見ごろは2月下旬から3月中旬
延慶寺の「兜梅」の見ごろは2月下旬から3月中旬頃まで。お寺の裏庭になりますので、静かに眺めましょう。夕暮れ時も、闇にうかぶ白い梅の花が映えておすすめです。
まとめ
強く美しく、そして悲しい伝説をもつ延慶寺の梅の花「兜梅」。春の訪れと白い生命の強さを感じに、見に行ってみませんか?
■延慶寺「兜梅」
住所:熊本県天草市浜崎町12-6
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アクセス:・車 熊本駅~約2時間 九州自動車道松橋IC~約1時間40分 天草空港~約10分
本渡バスセンターか~5分、徒歩15分
・バス「馬場」バス停から徒歩5分